第6節 運搬・打設
第6節 運搬・打設
1-3-6-1 一般事項
本節は、コンクリートの運搬及び打設に関する一般的事項を取り扱うものとする。
1-3-6-2 準備
1.一般事項
受注者は、レディーミクストコンクリートの運搬に先立ち、搬入間隔、経路、荷下し場所等の状況を把握しておかなければならない。
2.潮待ち作業時の注意
受注者は、コンクリート打設が潮待ち作業となる場合、打設に要する時間と潮位の関係を十分に把握し、施工しなければならない。
3.打設前の確認
受注者は、コンクリートの打込み前に型枠、鉄筋等が設計図書に従って配置されていることを確かめなければならない。
4.打設前の注意
受注者は、打設に先立ち、打設場所を清掃し、鉄筋を正しい位置に固定しなければならない。また、コンクリートと接して吸水のおそれのあるところは、あらかじめ湿らせておかなければならない。
1-3-6-3 運搬
1.一般事項
受注者は、コンクリート練混ぜ後、速やかに運搬しなければならない。
2.品質の保持
受注者は、材料の分離その他コンクリートの品質を損なうことのないように、コンクリートを運搬しなければならない。
3.トラックアジテータ
受注者は、運搬車の使用にあたって、練り混ぜたコンクリートを均一に保持し、材料の分離を起こさずに、容易に完全に排出できるトラックアジテータを使用しなければならない。これにより難い場合は、設計図書に関して監督職員と協議しなければならない。
1-3-6-4 打設
1.一般事項
受注者は、コンクリートを速やかに運搬し、直ちに打込み、十分に締固めなければならない。練混ぜから打ち終わるまでの時間は、原則として外気温が日平均で25℃を超える場合で1.5時間、25℃以下の場合で2時間以内とし、かつコンクリートの運搬時間(練り混ぜ開始から荷卸し地点に到着するまでの時間)は1.5時間以内としなければならない。これ以外で施工する可能性がある場合は、監督職員と協議しなければならない。
なお、コンクリートの練混ぜから打ち終わるまでの時間中、コンクリートを日光、風雨等から保護しなければならない。
2.適用気温
受注者は、コンクリートの打込みを、日平均気温が4℃を超え25℃以下の範囲に予想されるときに実施しなければならない。日平均気温の予想がこの範囲にない場合には、第1編第3章第9節暑中コンクリート、第10節寒中コンクリートの規定による。
3.施工計画書
受注者は、1回の打設で完了するような小規模構造物を除いて1回(1日)のコンクリート打設高さを施工計画書に記載しなければならない。また、受注者は、これを変更する場合には、施工前に施工計画書の記載内容を変更しなければならない。
4.コンクリート打設中の注意
受注者は、コンクリートの打設作業中、型枠のずれ、浮上り、目地材の離れ及び鉄筋の配置を乱さないように注意しなければならない。
5.コンクリートポンプ使用時の注意
受注者はコンクリートポンプを用いる場合は、「コンクリートのポンプ施工指針[2012年版] 5章圧送」(土木学会、平成24年6月)の規定による。これにより難い場合は、監督職員の承諾を得なければならない。また、受注者はコンクリートプレーサ、ベルトコンベヤ、その他を用いる場合も、材料の分離を防ぐようこれらを配置しなければならない。
6.ベルトコンベヤ使用時の注意
受注者は、ベルトコンベヤを使用する場合、適切な速度で十分容量のある機種を選定し、終端にはバッフルプレート及びシュートを設け、材料が分離しない構造のものとしなければならない。
なお、配置にあたっては、コンクリートの横移動ができるだけ少なくなるようにしなければならない。
7.バケット及びスキップ使用時の注意
受注者は、バケット及びスキップを使用する場合、コンクリートに振動を与えないよう適切な処置を講じなければならない。また、排出口は、排出時に材料が分離しない構造のものとしなければならない。
8.シュート使用時の注意
受注者は、打設にシュートを使用する場合には縦シュートを用いるものとし、漏斗管、フレキシブルなホース等により、自由に曲がる構造のものを選定しなければならない。
なお、これにより難い場合は、事前に監督職員の承諾を得なければならない。
9.打設コンクリートの横移動禁止
受注者は、打設したコンクリートを型枠内で横移動させてはならない。
10.連続打設
受注者は、一区画内のコンクリートの一層を打設が完了するまで連続して打設しなければならない。
11.水平打設
受注者は、コンクリートの打上り面が一区画内でほぼ水平となるように打設しなければならない。また、締固め能力等を考慮して、コンクリート打設の一層の高さを定めなければならない。
12.打設計画書
受注者は、コンクリートの打設作業に際しては、あらかじめ打設計画書を作成し、適切な高さに設定してこれに基づき、打設作業を行わなければならない。また、受注者は、型枠の高さが高い場合には、型枠にコンクリートが付着して硬化するのを防ぐため、型枠に投入口を設けるか、縦シュートあるいはポンプ配管の吐出口を打込み面近くまで下げてコンクリートを打ち込まなければならない。この場合、シュート、ポンプ配管、バケット、ホッパ等の吐出口と打込み面までの自由落下高さは1.5m以下とするものとする。
13.材料分離防止
受注者は、著しい材料分離が生じないように打込まなければならない。
14.上層下層一体の締固め
受注者は、コンクリートを二層以上に分けて打込む場合、上層のコンクリートの打込みは、下層のコンクリートが固まり始める前に行い、上層と下層が一体になるように施工しなければならない。
15.ブリーディング水の除去
受注者は、コンクリートの打込み中、表面にブリーディング水がある場合には、これを取り除いてからコンクリートを打たなければならない。
16.壁または柱の連続打設時の注意
受注者は、壁または柱のような幅に比べて高さが大きいコンクリートを連続して打込む場合には、打込み及び締固めの際、ブリーディングの悪影響を少なくするように、コンクリートの1回の打込み高さや打上り速度を調整しなければならない。
17.アーチ形式のコンクリート端部
受注者は、アーチ形式のコンクリートの打込みにあたって、その端面がなるべくアーチと直角になるように打込みを進めなければならない。
18.アーチ形式のコンクリート打設
受注者は、アーチ形式のコンクリートの打込みにあたって、アーチの中心に対し、左右対称に同時に打たなければならない。
19.アーチ形式のコンクリート打継目
受注者は、アーチ形式のコンクリートの打継目を設ける場合は、アーチ軸に直角となるように設けなければならない。また、打込み幅が広いときはアーチ軸に平行な方向の鉛直打継目を設けてもよいものとする。
1-3-6-5 締固め
1.一般事項
受注者は、コンクリートの締固めに際し、棒状バイブレータを用いなければならない。
なお、薄い壁等バイブレータの使用が困難な場所には、型枠バイブレータを使用しなければならない。
2.締固め方法
受注者は、コンクリートが鋼材の周囲及び型枠のすみずみに行き渡るように打設し、速やかにコンクリートを十分締固めなければならない。
3.上層下層一体の締固め
受注者は、コンクリートを二層以上に分けて打設する場合、バイブレータを下層のコンクリート中に10㎝程度挿入し、上層と下層が一体となるように入念に締固めなければならない。
4.狭隘・過密鉄筋箇所における締固め
狭隘・過密鉄筋箇所における締固めを確実に実施するため、その鉄筋径・ピッチを踏まえたバイブレータを用いるものとし、その締固め方法(使用器具や施工方法)を施工前に施工計画書に記載しなければならない。
1-3-6-6 沈下ひび割れに対する処置
1.沈下ひび割れ対策
受注者は、スラブまたは梁のコンクリートが壁または柱のコンクリートと連続している構造の場合、沈下ひび割れを防止するため、壁または柱のコンクリートの沈下がほぼ終了してからスラブまたは梁のコンクリートを打設しなければならない。また、張出し部分を持つ構造物の場合も、前記と同様にして施工しなければならない。
2.沈下ひび割れの防止
受注者は、沈下ひび割れが発生した場合、タンピングや再振動を行い、これを修復しなければならない。
再振動にあたっては、その時期をあらかじめ定めるなど、コンクリートの品質の低下を招かないように適切な時期に行わなければならない。
1-3-6-7 打継目
1.一般事項
打継目の位置及び構造は、契約図面の定めによるものとする。ただし、受注者は、やむを得ず契約図面で定められていない場所に打継目を設ける場合、構造物の性能を損なわないように、その位置、方向及び施工方法を定め、監督職員と協議しなければならない。
2.打継目を設ける位置
受注者は、打継目を設ける場合には、せん断力の小さい位置に設け、PC鋼材定着部背面等の常時引張応力が作用する断面を避け、打継面を部材に圧縮力が作用する方向と直角になるよう施工することを原則とする。
3.打継目を設ける場合の注意
受注者は、やむを得ずせん断力の大きい位置に打継目を設ける場合には、打継目に、ほぞ、または溝の凹凸によるせん断キーで抵抗する方法や、差し筋等の鉄筋によって打継目を補強する方法等の対策を講ずることとする。また、これらの対策は、所要の性能を満足することを照査した上で実施する。
4.新コンクリートの打継時の注意
受注者は、硬化したコンクリートに、新コンクリートを打継ぐ場合には、その打込み前に、型枠をしめ直し、硬化したコンクリートの表面のレイタンス、緩んだ骨材粒、品質の悪いコンクリート、雑物などを取り除き吸水させなければならない。
また受注者は、構造物の品質を確保するために必要と判断した場合には、旧コンクリートの打継面を、ワイヤブラシで表面を削るか、チッピング等により粗にして十分吸水させ、セメントペースト、モルタルあるいは湿潤面用エポキシ樹脂などを塗った後、新コンクリートを打継がなければならない。
5.床と一体になった柱または壁の打継目
受注者は、床組みと一体になった柱または壁の打継目を設ける場合には、床組みとの境の付近に設けなければならない。スラブと一体となるハンチは、床組みと連続してコンクリートを打つものとする。張出し部分を持つ構造物の場合も、同様にして施工するものとする。
6.床組みの打継目
受注者は、床組みにおける打継目を設ける場合には、スラブまたは、はりのスパンの中央付近に設けなければならない。ただし、受注者は、はりがそのスパンの中央で小ばりと交わる場合には、小ばりの幅の約2倍の距離を隔てて、はりの打継目を設け、打継目を通る斜めの引張鉄筋を配置して、せん断力に対して補強しなければならない。
7.目地
目地の施工は、設計図書の定めによるものとする。
8.伸縮目地
伸縮目地の材質、厚、間隔は設計図書によるものとするが、特に定めのない場合は瀝青系目地材料厚は1㎝、施工間隔10m程度とする。
9.ひび割れ誘発目地
受注者は、温度変化や乾燥収縮などにより生じるひび割れを集中させる目的で、ひび割れ誘発目地を設けようとする場合は、構造物の強度及び機能を害さないようにその構造及び位置について、監督職員と協議しなければならない。
1-3-6-8 表面仕上げ
1.一般事項
受注者は、せき板に接して露出面となるコンクリートの仕上げにあたっては、平らなモルタルの表面が得られるように打込み、締固めをしなければならない。
2.せき板に接しない面の仕上げ
受注者は、せき板に接しない面の仕上げにあたっては、締固めを終り、ならしたコンクリートの上面に、しみ出た水がなくなるかまたは上面の水を処理した後でなければ仕上げ作業にかかってはならない。
3.不完全な部分の仕上げ
受注者は、コンクリート表面にできた突起、すじ等はこれらを除いて平らにし、豆板、欠けた箇所等は、その不完全な部分を取り除いて水で濡らした後、本体コンクリートと同等の品質を有するコンクリート、またはモルタルのパッチングを施し平らな表面が得られるように仕上げなければならない。
1-3-6-9 養生
1.一般事項
受注者はコンクリートの打込み後の一定期間を、硬化に必要な温度及び湿潤状態に保ち、有害な作用の影響を受けないように、その部位に応じた適切な方法により養生しなければならない。
2.湿潤状態の保持
受注者は、打ち込み後のコンクリートをその部位に応じた適切な養生方法により、一定期間は十分な湿潤状態に保たなければならない。養生期間は、使用するセメントの種類や養生期間中の環境温度等に応じて、施工実績、信頼できるデータ、あるいは試験等により定めるものとする。通常のコンクリート工事におけるコンクリートの湿潤養生期間は、表1-3-3を目安とする。
| 日平均気温 | 早強ポルトランドセメント | 普通ポルトランドセメント | 混合セメント B種 |
中庸熱ポルトランドセメント | 低熱ポルトランドセメント |
|---|---|---|---|---|---|
| 15℃以上 | 3日 | 5日 | 7日 | 8日 | 10日 |
| 10℃以上 | 4日 | 7日 | 9日 | 9日 | ※ |
| 5℃以上 | 5日 | 9日 | 12日 | 12日 | ※ |
※15℃より低い場合での使用は、試験により定める。
〔注〕寒中コンクリートの場合は、第1編第3章第10節寒中コンクリートの規定による。
養生期間とは、湿潤状態を保つ期間のことである。
3.温度制御養生
受注者は、温度制御養生を行う場合には、温度制御方法及び養生日数についてコンクリートの種類及び構造物の形状寸法を考慮して、養生方法を施工計画書に記載しなければならない。
4.蒸気養生等
受注者は、蒸気養生、その他の促進養生を行う場合には、コンクリートに悪影響を及ぼさないよう養生を開始する時期、温度の上昇速度、冷却速度、養生温度及び養生時間などの養生方法を施工計画書に記載しなければならない。
なお、膜養生を行う場合には、設計図書に関して監督職員と協議しなければならない。